プチトリアノン の王妃の寝室からな何が見えるでしょうか???
、、、そうです♬ ”愛の神殿”ですね。少年の姿のキューピッドがいます。(元々ルイ15世の時代から存在したオリジナルはルーブル美術館にあります。)丁度こんな眺めです。
プチトリアノン のサロンなのだから、うちのテラスにもキューピッドを!と思ったものの、なかなか欲しいと思える物に出会えませんでした。よく見かけるキューピッドは、ただ可愛らしいのです。サロンに物を足す時に気をつけているのが、カワイイだけではなく、ず〜っとそこにあったかのような重厚感を感じさせる物であること。さもないと今まで作ってきた全体のバランスが崩れてしまいます。では私はどんな子が欲しいのかと考えたところ、同じくルーブル美術館にある18世紀にポンパドール夫人がエリゼ宮用にファルコネに発注したこちら↓ これが良い♬
そんな自分に言ってやりました。”ルーブル美術館所蔵の彫刻が欲しいってバッカじゃない?!” でも有名な彫刻だしレプリカ出てないのかな???しかも実物に近い大きさが欲しいワン(笑) ← やっぱりおバカです。と、思いきや、、、あったのです!先日やっとアメリカからやって来ました💗
初めてこの彫刻を美術館で見たとき私は ”あれ?鼻ほじってる?!” と思わず2度見してしまったのですが、もちろんポンパドール夫人がそんな天使を発注なさるなんてことはございません。このキューピッドはフラゴナール の”ぶらんこ”(ウォレスコレクション)にも描かれています。左端をご覧ください。
この絵画はいかにも ”ザ・18世紀おフランス貴族の恋愛事情” な絵画ですよね(笑)
古典絵画の面白いところは、画家は絵の中に知的な遊びを組み込み、鑑賞する側はそれを読み解く。そして現代の私達は時代背景やどの国かによっても読み方が違ってくるワクワク感がたまりません。
元々この絵画のアイデアを男爵から依頼された画家ドワイヤンは、あまりにも破廉恥な内容にパス!友人のフラゴナール が描きました。”ぶらんこ”は性行為を意味し、男性があげている手は男性器を表し、女性のドレスはバラの花のようですがこれは女性器を表します。若い女性(男爵の愛人)はぶらんこに乗り片方のミュールを飛ばしている。これは貞節をええいっとすっ飛ばして喪失したことを表し、彼女の初老の夫はぶらんこを縄で引いて漕いでいる!彼女の愛人はこの男爵自身でしょうか。もしこれが中世だったら決闘騒ぎであろう人間関係も、18世紀のフランス貴族たちの結婚観念は現代とはかけ離れていました。さて、肝心のキューピット君はと言いますと、狂言回し的役割としてこの破廉恥な登場人物たちの成り行きを見ている我々に ”シィ〜!内緒だよん。” と指を立てているように見えます。鼻はほじっておりません。国王に”公式の愛人”がいた時代ですから、恋愛模様もドロドロではなく軽妙に描かれていて、時代による価値観の違いって面白いなぁとこの絵は特に感じさせてくれます。今問題になっている芸能人の男性も、この時代だったら何てことなかったことでしょう。
こんな風にサロンのテラスにお迎えしたキューピッド♬ 来月の再開からお越しの皆様、是非マリーアントワネットになった気分で眺めて下さいね💗